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「セルフブラック」の功罪

2019.04.29

こんにちは、萩ドットライフ()です。

サラリーマンは長時間労働がNGになるらしいですね。僕はフリーランスということもあって、長らく「セルフブラック」状態でした。さすがに常態化するとマズいとは思いますが、人生のどこかで、仕事に没頭するフェーズって必要だと思うんですよね。

この4月から「働き方改革関連法」が順次施行されているようです。
「経営者の人は、従業員に無理な働き方を強いてはダメですよ」ということらしいのですよ。

働き方改革関連法:
働き方改革関連法(はたらきかたかいかくかんれんほう)、正式名称「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(はたらきかたかいかくをすいしんするためのかんけいほうりつのせいびにかんするほう)または働き方改革一括法(はたらきかたかいかくいっかつほう)は、日本法における8本の労働法の改正を行うための法律の通称である。

  1. 労働基準法
  2. 労働安全衛生法
  3. 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
  4. じん肺法
  5. 雇用対策法
  6. 労働契約法
  7. 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
  8. 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

第4次安倍内閣(安倍晋三首相、自公連立政権)下の2018年(平成30年)4月6日に第196回国会に提出され、6月29日の参議院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。同年7月6日公布、翌2019年(平成31年)4月1日順次施行。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/働き方改革関連法(2019年4月29日現在)

ずっと「ブラック企業」「サービス残業」「やりがい搾取」などが、問題化してましたから、概ね「いいことなんじゃない?」という捉え方をしています。

僕は、20年以上前にフリーランスになっていますから、ずっと労働法を意識せずに生きてきました。
その上、職業がデザイナーなので、長時間労働をとくになんとも思っていませんでした。
以前投稿した『フリーランスにとっての「ワークライフバランス」』でも書いたように、完全なる「セルフブラック」状態でした。

ずっと好きで「仕事中毒」になっていたのですよ。

40代後半にパニック障害を発症したり、高血圧症と心臓が肥大しててヤバい状態になってることがわかって「やっぱ、ライフワークバランスって大切だよね」などと言い始めるまでは、ずっとこの状態でした。

セルフブラックも、それほど悪くない

フリーランスのデザイナーとして、メシを食いたかったのですよ。「ライフワークバランス」よりもフィールドに上がる方が重要だったのです。
何歳になってもコンプレックスを克服できない」で触れたように、僕はデザイナーになるための教育を受けていませんから、とにかく「量で質を担保するしかない」と思っていました。

当然、仕事をもらったら、就業時間など意識せずに「もうちょっと精度を高く…」と、ギリギリまで考え続けていました。

仕事がないときには、ずっとひとりで謎作品を作り続けていましたし、時間が空けば何かしら手を動かしたり、新しいことに取り組まないと気がすまなかったのですよ。
(参考:「盆暮れGWはラボ」タグを付けられた記事の一覧

そういう行動が良かったのか、悪かったのかは判断できません。

ただ好きでやってたので、楽しかったのです。
そして、いま50代半ばなって自分から「デザイナー、そろそろ辞めることにします」っていうまで、ずっと仕事をいただき続けることができたので、それほど悪いことでもないのかな? と思っています。

繰り返しますが「量が質を担保してくれた」のだろうと思っています。

フリーでやってる人って、大なり小なりそういう経験あるんじゃないでしょうかね?
サラリーマンを含めた職業人みんなに「セルフブラックやれ」って言う気はありませんけれどね。

これが時代の空気なんでしょうね

冒頭で触れた「働き方改革」。賛成ですが、サラリーマンでも「仕事にハマる」時期ってありますよね。仕事が楽しくて楽しくて仕方ない時期。
僕のサラリーマン時代の場合は、当時自分のMacなんで自宅に持ってませんでしたから、なんだかんだと理屈をつけて事務所に残りたがりましたね。

僕の場合「どうしても電車通勤がキツいです」って直訴して、車通勤してましたから、終電も関係ありませんでしたし、できるだけ長く事務所にいたかったのです。その方が楽しかったんですよね。

これからはNGになるんでしょうね。

「だって、従業員が『事務所にいたい』って言ってるんですもん」なんて通用するわけありませんもんね。
「もうちょっとツメたいんすよね」って言ってる従業員に「ダメだ、帰れ」と。

ハードワークをハードワークと思わず、制作物の精度を上げたくて作業に没頭する時間が欲しいときってあるし、そういう経験って、自分を強化してくれると思うんですよね。

これ、サラリーマンもフリーランスも関係ない話のはずなのですよ。
でもこれから、サラリーマンに対して「長時間労働NG」となったら、だんだんとフリーランスにも波及してくるんじゃないでしょうかね。
だんだんと、そういう空気って、できあがってきますからね。

僕が若い頃「フリーターブーム」ってあったんですよ。
当時は、自由な働き方として、カッコいいこととされてたんです。
大卒初任給が15万円程度だった頃に、フリーターは25〜30万円くらい稼いでましたから、「もうサラリーマンは古い」みたいなことを言ってた人もいましたね。

そういう時代の空気だったんですよ。
当時の、僕と同世代のフリーターのうち、軌道修正できなかった人が、今の「高齢非正規労働者」になってるんだろうと思います。

僕もフリーランスなので「高齢非正規労働者」の一味なんですけどね。

これからしばらくの間「長時間労働はダサい」という空気になるかもしれません。
その空気に流されるも、抗うも自分次第なのですが、何年か経ってから
「だって、あのときは政府がそう言ってたんだもん」
「量をこなす? 精度を上げる? やってるわけないよ、国がダメだって言ってたんだから」
って言っても遅いのです。

後になって悪者探しをするくらいなら、今のうちに「セルフブラック」を試してもいいんじゃないでしょうかね。

でも「セルフブラック」は、ほどほどに

僕はフリーランスになって以降、「セルフブラック」を長患(わずら)いし過ぎましたね。
30代半ばにフリーランスになってから、40代後半にパニック障害を発症するまで、ずっとでしたから。
フリーランス特有の「仕事なくなる恐怖」も原因のひとつです。

「セルフブラック」を修正するとに躊躇するのですよ。
「量をこなす」「ギリギリまで精度を上げ続ける」が「正義」だったのですから。

セルフブラックとパニック障害(と同時に見つかった数々の体調不良)が関係しているものなのかどうかは不明なのですが、健康に良くないことは間違いなさそうなのです。

成果を得るためには、そこそこの「セルフブラック」状態になる時期を作ることが有効なのだろうと思いますが、常態化すると健康を蝕むことになりかねません。
ときどき「なんか、働き方改革って言ってたな。自分も気をつけよ」と思い出すくらいがいいんじゃないでしょうかね。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。