follow hagi.life

フリーランスの「タダ働き」について

2018.10.15

こんにちは、萩ドットライフ()です。

タダ働きの中には「安売り」も含むと思ってください。SNSやネット上の記事などで「フリーランスはタダ働きすべきではない」「やりがい搾取とかクソ」みたいな話が出回ってて、みんなそれを意識する時代になってると思うんですよね。概ね僕も賛成です。

僕は「お金がないので…」って言われたらタダでやります

とはいえ、最近はそういう話もなくなりましたけどね。たぶん僕がオッサンになったからだと思います。「タダで」とか「安く」の犠牲になるのは、だいたい駆け出しの若年者なんじゃないでしょうかね?
それでも20年以上、フリーのWebデザイナーをやっているし、その前は印刷物を作っていたので「ホームページ作ってくれ」「名刺作ってくれ」って話はよくありましたね。

「話しかけてくんな、クソ」ってケースもありますが、それは後述するとして、大体は知人からの依頼か、知人からの紹介だったりするわけですよ。
事前に「やりたいこと」とか「将来の展望」みたいな心意気を聞いた上で頼まれるもんですから、断りにくいもんなんです。

話を聞いちゃった時点で「いいじゃん、きっとうまくいくよ」とか「できることあったら、協力するよ」くらいのことは言っちゃってますからね。
「ホームページ作りたいんだけど、お金が…」みたいな話を持ちかけられると、難渋するのですよ。

だいたい「レギュラーの案件がみっちり詰まってるから、時間取れないんだよ」ってことわるケースが多いですかね。これ、ただの方便じゃなくて、実際そうなんですよ。
メインクライアントの案件が常時動いてる中でスポット案件を請けるのって、結構バテるのです。

それでも「こいつがやろうとしてること、面白そうだな」って思ったら「是非オレにやらせてくださいよ」って自分から申し出ますね。
往々にして、何かを始めようとしてる人って、お金ないですから「決して予算が潤沢なわけでは、ないんだけど」って話になりがちなんですよね。
そこで「いいですよ、安くやります」「どのくらいが希望ですか?」って先方に値付けさせちゃうと、彼と僕の間では、それが相場になっちゃうんですよね。

のちのち、僕が「そろそろ正規の価格に」と申し出ても、先方は「値上げしてきた」と受け取っちゃうもんなんですよね。
なので「いいです。初動はお金要りません」「そのかわり、僕の任意のタイミングで離脱するか、正規の料金での受発注への切り替えを申し出ます」ということにしています。

こういう言い回しも、いくつかの地雷を踏んだ上で覚えたんですよ。
今ならば「まずはFacebookとかtwitterで発信したら?」「見込み客にどんな情報を届けるべきか見極めてたら、必要ならばホームページ作ればいいよ」みたいなことをいいますかね。

でも、スタートアップに一丁噛みすることの楽しさってのがあって、地雷探査装置の感度がニブることは多いですね。

端っから地雷なケース

このパターンで話を持ちかけてくるヤツはダメだわ、って人はいますね。
ざっと思いつくだけでも、

  • 「この仕事で気に入られたら、他にも来るよ」って未来を語るヤツ
  • 「仕事やるぞ」って上から来るヤツ
  • 「ウチの仕事をやれば、あなたの宣伝になる」っていうバカ
  • GW盆暮れ直前にしか案件持ってこないヤツ

こんな感じでしょうか。まだ、あったような気もするけど、うまく言葉にできるのはこんな感じかな。

「この仕事で気に入られたら、他にも来るよ」って未来を語るヤツ

これに関しては、ニュアンス次第かな? ここで挙げてるのは、決まってもない案件を持ち出して「こんなにも将来性あるんだから、いい条件だしてよ、優先的にスケジュール割いてよ」みたいな感じのアプローチしてくるヤツですね。
「先方に気に入られなきゃ続かないんでから、最初はタダで(安く)やって食い込もう」みたいなクソな提案してきたりすると、完全に地雷認定ですよね。

話を持ってくる人が、すでに人間関係できてる人で、すごくガンバッてることも知ってて「なんとか協力して欲しい」って感じなら、「オシ! 任せろ」ってなるんですけどね。
結局「人による」ってことなんですけどね。

「仕事やるぞ」って上から来るヤツ

僕が地雷臭を感じるのは「オレの近くにいると、仕事にありつけるかもよ」的な空気を出してくる人ですね。
こういう人って「提案だ」「プレゼンだ」「サンプルだ」「資料作りだ」って、金にならない作業をたくさん依頼してくるくせに、いっこうに受注に結びつかないか、「安売りで受注してきてんじゃん」ってケースが多いような気がします。
今の僕ならば「この値段で」って言われたその場で「それじゃ合いませんね、他の業者にご依頼ください」って言いますね。着手したあとでは断りにくいですからね。

これも「人による」要素が強い事案ですね。
これまでの人付き合いができてて「おぅ、仕事やるぞ」「どんな案件です?」みたいな関係性が構築されてるのならば何の問題もないのです。「いいすね、やらせてください」でも「それ、僕に向いてませんよ。やめときます」でもどっちでもいいので。

「ウチの仕事をやれば、あなたの宣伝になる」っていうバカ

これに関しては、何もいうことありませんよね。
この言葉を言う人は、背景や経緯にかかわらず、地雷です。自分の視界の外に出しましょう。
向こうから連絡してくるようなら「僕、廃業したんすよ」ってウソつきましょう。

GW盆暮れ直前にしか案件持ってこないヤツ

「知らない人じゃないし、恩売っとくか」って請けたことが何回かあります。
ゴールデンウィークや、盆暮れ前って、案件が立て込むんですよ。クライアントが「盆休み前に公開したい」とか言い出しますからね。
だから「承知しました、僕も立て込んでるんすけど、なんとかします」って請けてる僕もキツいのですよ。でも、期限がキッチリ決まってて「盆前には、必ず手が離れる案件だから」という、手離れの良さで請けたりもするのです。

でも、この仕事を何年かやって気づきました。
「GW盆暮れ直前にしか案件持ってこないヤツ」は、GW盆暮れ直前にしか案件持ってきません。
彼の中で僕は緊急要員になっちゃってるんですよ。
このケースは、本記事のテーマである「タダ働き(安売り)」とは、関係なかったですね…。

だんだんと地雷に進化するケース

最初は「いいですよ、タダでやりますよ」って僕から申し出た案件が、だんだんと地雷化するケースですね。
だんだんと、タダでWebサイトを運用してもらうことが「当たり前」になっちゃうんですよ。
いつまで経っても予算計上しようとしないし「そろそろ有償での運用に切り替えたい」って言っても、「ウチ、そんな余力あるように見える?」みたいな返答されることもあるし、「ずっと無償だとキツいから、離脱します。あとは他の業者にご依頼ください」と申し出ると「裏切られた」って言い始める。

結局、そこで人間関係も終わっちゃうケースがいくつかありましたね。
僕の場合、タダで始めた案件が有償に転じたことは、残念ながら1度もありません。
他の業者を探すように促して、離脱でき、かつ経営者との関係が今でも良好なのは2ケースにとどまります。

上の方に「僕の任意のタイミングで離脱するか、正規の料金での受発注への切り替えを申し出ます」と伝えると書いてますが、これを言ってても拗(こじ)れるときは、拗れるんですよ。
「言った、言わない」が始まっちゃいますからね。

もし今後「いいよ、タダでやるよ」って申し出ることがあれば「1年間は」とか「製品のローンチまでは」みたいに期限を設けつつ請けたほうがいいのかな? と思っています。
そうすれば、途中々々で「あと半年、なにができるかですよねぇ」とか「ラスト1ヶ月、この1年のアクセスの変化、プリントアウトしましょうか」みたいに、残り時間を含めた会話ができますからね。

なかなか「タダじゃやらないよ」って突っぱねることができない状況ってのは、あるもんなんですよ。
特に酒飲みながら、気持ちを語られると、ついつい応援ゴコロが芽生えちゃうもんなんですよね。

「フリーランスはタダ働きすべきではない」「やりがい搾取とかクソ」には、大いに賛成してはいるんですけどね……。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。