follow hagi.life

デザイナーにとっての、セミリタイアと引退

2019.01.17

最終更新日:2019年03月07日

こんにちは、萩ドットライフ()です。

自分で望んで退いたら「引退」だし、仕事を請ける姿勢でいるにもかかわらず、仕事が来なくなったら「引退」なのですよ。50代半ばになり「引退の時期くらい自分でコントロールしたい」と思うようになってたどり着いた考え方が、セミリタイアなのです。

自分が発注者なら、同年代のデザイナーに頼むわな

また「セミリタイア」論です、スミマセン。ずっとこればっかり考えてるのですよ。
自分がセミリタイア生活を選択しちゃったものだから「オレの選択、正しかったよな」と確認したいという意図もありますし、「セミリタイアのその先」まで、ずっと記録しつづけたいのです。

こうして考え続けていて、思考が研ぎ澄まされていってるのか? それとも、とっ散らかっちゃってるだけなのか? は謎ですが、ずっともがき続けていることだけは確かです。

さて、僕がこうして職業人としての「引退」を視野に入れつつ、かつ引退を拒んで「セミリタイア」という期間を設けた背景に、デザイナーという職業が関係しているのかな? とも思っているのですよ。
もしかしたら、クリエーター業全般に共通するのかもしれませんが、とりあえず僕がわかるデザイナーだけで考えてみます。

僕はフリーランス歴20年ちょいのWebデザイナーです。年齢は50代半ば。
もう、同年代のデザイナーと出会うことは少なくなってきました。
もともと「20年モノのWebデザイナー」ってのが希少種なんじゃないですかね…。

案件が始まるとき、オリエンテーションの顔ぶれを見ても、同世代の人ってまずいませんからね。いたとしても、おエラいさんがネクタイして座ってるくらいのもんですね。
だいたい30〜40代くらいの人たちが、バリバリやってるフィールドだという印象です。

ありがたい話なのですよ。
僕を指名して依頼してくれる人は、その30〜40代くらいの人たちなのですから。

僕、逆の立場だったらイヤですもん。
いくら実績があるったって、ひと回りもふた回りも年上の業者なんて、メンドくさいに決まってますもんね。
「仕事は実力の世界。年齢も性別も関係ないのです」って言ったって、やっぱり組みやすい人を指名したかろうと思うのです。
だから、同年代前後の人同士で固まりやすいのが、当然だろうと思うのですよ。

「仕事の楽しさが成果に出る」と考えてる人の多い業界でもありますしね。
僕が発注者なら、そうするような気がしますね。

なので常に「この状態、そんなに長く続くわけないよな」と思い続けているのですよ。
「オレのようなオッサンが仕事を発注してもらえるのは、何かの手違い」だと。

ゼロになれるときにゼロになる

たぶん、75歳くらいまで働くのですよ。
「働く」というと、悲壮感みたいなものが漂いますが「社会の中でのポジションを確保す続ける」とか「生産活動をし続ける」みたいなニュアンスですよね。
もちろん、お金も欲しいです。

2017年の日本人の平均寿命、男性が81.09歳なのだそうですよ。これの1割増くらいは計算に入れておいて、なんとなく90歳くらいで死ぬことを想定して、そこから逆算しているのですよ。

そこから「人生のやり残しに始末をつける期(老後)」が10年、「死ぬ準備期」が5年くらい。計15年を引いて、75歳まではフィールドにいようと思うのです。
なので、あと20年あるのです。

僕がフリーランスになったのが30代半ばです。そこから約20年が経過したのが今なのですが、その期間が「おかわり」できちゃうのですよ、長すぎですね。

ちょうど今、

  • 金銭的な余裕
  • 考えたことを行動に移す体力
  • 新しいものに興味を持つ好奇心

が上手い具合に揃ってる時期なのですよ。

ここ数年、アップデートしなきゃいけない技術の量が加速度的に増えつつあることを感じてるのですよ。
これは、Webデザイナーという職業に対する「飽き」や、加齢による能力の減退との相対的な感覚かもしれません。

ならば「やりたくないことは一旦停止して、リセット」「興味のあることに集中して、スタート」「その前にちょっと休息しようかな」というタイミングなのですよ。

これまでは、仕事を絶やすことが怖かったし、これから先は、この仕事しかできなくなることが怖いのです。
(参考:「この仕事しかできない人」になるリスク

なんとなく「ゼロ地点を作れるのは今しかないんじゃないか?」と思っているのです。

自ら退くことができるという幸せ

おそらくデザイナーは、意思に反して「引退」を受け入れなければならないのですよ。
自分では「デザイナーでいたい」と思っているのに、仕事が来なくなる状態ですね。

サラリーマンであれば、配置転換や出向などで新たな職業を与えられて定年を迎えるのでしょうが、フリーランスは単純にその時点で「無職」になるのです。

僕がこうして「セミリタイア期間を設けるよ!」などと言っているのは、とても贅沢なことだという自覚はあります。
でも、僕は僕なりにずっともがき続けているのですよ。

「もがく」という作業も、僕が考える「セミリタイア」の中に入っているのです。
僕はフリーランスになった頃から、ずっと「もがいている」という自覚はあって、だからこそ「セミリタイア」という考え方にたどり着いたのかもしれません。

40代半ばくらいには「ずっとデザイナーでいることなんでできるわけないもんな」「そろそろ、オレのデザイナー人生、終わりかな?」って思ってました。
みんなオッサンになったら、仕事もらえなくなるから、若いデザイナーにチャンスがあるんですもんね。そうやって、僕にも仕事が回ってきてたはずなのですよ。

それが順繰りで、自分に「仕事もらえなくなるオッサン」の役が回ってくるなんて、当たり前のことですもんね。

50代半ばで「ご指名」のある自分を内心「オイオイすげえな、どうなってるんだよ」と思っているのです。
反面、常に「これが60歳まで持つわけないじゃん」とも思っています。

だから、デザイナー業を一旦退いて「また何かの初心者になりたい」と思っているのです。

僕はまだまだ、もがいている途中です。
もがき切ってたどり着いたところで見えた景色を誰かに伝えたいのです。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。