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収入ゼロの恐怖に備える

2019.02.19

こんにちは、萩ドットライフ()です。

フリーランスをやってると、安定を求めるあまり「主体性」や「裁量」を犠牲にしちゃうことがあるのです。僕もずっとそういう状態に陥っていたのですが、その根底には「収入ゼロの恐怖」があるんですよね。「もっと前から備えておけば…」という話です。

「安定」のもつ魅力には抗いきれません

昨日「フリーランスだからといって、主体性を持ち続けられるワケじゃない」を投稿したあとに、ずっといろいろ考えていたのですよ。

その、主体性を失い、楽しくなくなった期間に手に入れたものは「安定」でした。
いわゆる「いい状態」だったんです。フリーランスになりたての不安定な頃に羨ましく眺めていた状態であり、目指していた状態だったのですよ。

反面、安定をキープするために、主体性を押さえ込み、裁量を脇に追いやったような状態がしばらく続いてたんですね。

と書いているのですが、フリーランスや経営者をやってると「安定」って大切ですよね。
特に、起業時に上手く行かなくて、金銭的な恐怖を味わったりすると「どうにかして収益を」「せめて生活費でも」ってなっちゃいますよね。

少々「主体性」を奪われようが、「裁量」を失おうが「まずは、お金」なのですよ。
「常時複数案件に携わりながら、お金のことなど気にせずに、眠気と疲労を嘆く」なんて、まさに憧れの状態なのですよ。

そこに達せずにフリーランス生活を終えたり、法人を休眠させる人なんてたくさんいるわけですから…。

安定を失う準備

今、僕は10年前、20年前の自分に「安定を継続する技術と、安定を捨てる技術。どっちも必要だよ」と伝えたいのですよ。
50代半ばになった自分だから思いついた結果論なのであって、当時の僕は聞く耳を持たなかっただろうことは、簡単に想像できますが、それでも言葉に残しておきたいのですよ。

これって結局、以前「フリーランスの長期休暇」で書いた内容にも繋がるのですが、20年以上フリーランスのWebデザイナーをしてきて「バランスの悪いフリーランス人生だったな」と感じているのです。

極端に「安定を失う」ことに備えていなかったのですよ。
結果的に、そこそこまとまった資産を蓄えることができたので、こうしていろいろと考える余裕ができましたし、おっとり刀で、セミリタイアとか二拠点生活など、主体性を取り戻すような試みを始めることができましたが、これは単に運がよかっただけだろうと思っています。

デザイナーという仕事が嫌いになって、人間関係も壊して、自分の人生を憎むようになっても、それでも「生活できなくなるから、やめられない」という状態に陥る可能性だって十分あったと思うのですよ。

これって、30代40代の頃から「いつ収入ゼロになっても大丈夫だよ」という準備をしていたら、少しは状況が改善できたんじゃないかな? と考えているのです。
反面「そんなこと考えずに、ガシガシ案件請けたから資産形成できたんだ」とも思っていますが、まあ……バランスですよね。

金銭面と技術面

どうすれば、収入ゼロに耐えられる? ということなのですが「金銭面」の準備と「技術面」の準備があると思うんですよね。

金銭面の準備は、おそらく想像しやすですよね。
「生活を立て直す期間、収入なくても大丈夫なだけの蓄えをしておく」ということだろうと思います。
僕の感触だと、若い頃は少なくていいし、年取ったら多めに必要だと感じています。

おそらく個人差あるんでしょうが、30代の頃ならば6ヶ月分程度の蓄えがあれば大丈夫なんじゃないでしょうかね。
すべてのクライアントや取引先を失っても、6ヶ月もあれば、新しい仕事を手に入れて、納品して、代金を回収することによって、もとの生活を回復できる可能性、あるんじゃない? 感触的にダメならば途中でサラリーマンに戻る決断して就職活動ができるんじゃない? ってことです。その期間を支えるお金は必要ですよね。

もうひとつの技術面ですが、これは「職業を継続させるための技術」というよりも「考え方」が大切だと思うのです。
「収入ゼロであることを気にしない技術」「意図的に収入ゼロの期間を作る技術」みたいなものだと解釈しています。

収入ゼロの状態が続くと、どうしても不安になるんですよね。
「せっかく、ここまで頑張ってきたのに」「早く元の状態に復帰しないと」と焦るものなのですよ。
僕も結局、これに耐えられなかったのですよ。スケジュールが空くのが怖かったのです。

おそらくこれって、自分の望まない「収入ゼロ」を迎えるからなんですよね。
自分から主体的に、かつ定期的に「収入ゼロ」の期間を作っていれば、それほど心理的なプレッシャーもないはずですし、たとえ望まない「収入ゼロ」期間が訪れたとしても、どれほどの影響のあるものなのか? どういう対応をすればいいのか? がわかってるワケですから、落ち着いた対応ができるはずなのですよ。

遅ればせながら試してみます

「せっかく続けてきた職業なのに」「あれだけお世話になった取引先なのに」みたいな感情がないわけではありません。
むしろ、フリーランスになってからこれまでの20年間以上の大部分を一緒に仕事をしてきたクライアントや人々なので、ものすごく愛着を感じているのですよ。

もちろん、これですべて終わりにしようというわけではありませんが、一旦距離を置こうとしているのです。

このブログのあちこちで書いていますが、すでに新規案件の受注を断っていて、稼働中の案件がクローズするごとに、ひとつずつ仕事が減っていくフェーズ(=セミリタイア)なのです。

あと数ヶ月したら、受け持ち案件はゼロになります。もちろん、労働から得られる収入はゼロになります。

前述の通り、現在50代半ばの僕は、金融資産と不動産がありますので、もう収入ゼロにはならないのですよ。
なので、若い頃よりはかなりユルめのトライアルではありますが「やめたいと思うことをやめる」ことを試してみようと思うのです。

その上で、もう一度働き方というか、生産活動との折り合いの付け方を考えたいのです。
(参考:非IT作業に取り組みつつ、ITとデザインのことを見直したい

20年以上フリーランスを続けてきて今思ってるのは「主体的にやめるトライアルを何回かくり返しておけばよかったな」ということなのですよ。
もともとは「自分で考えたことを、自分でやりたい」と思ってフリーランスになったので、何かをやめることになかなか思い至らなかったのですよ。

「やめたいことがあったら、主体的にやめる」大切ですよ。

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