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一度も会ったことない人から言われた「寂しくなりますね」

2020.08.06

こんにちは、萩ドットライフ()です。

「僕の会社、盆明けに山口県萩市に移転するんです」と告げた取引先の担当者から「寂しくなりますね」とのお返事をいただきました。でも、一度もお目にかかったことがない、メールのみでやり取りしてる方なのです。「印象の距離」ってやつですよね。

引越しまで、2週間を切っています

東京を離れ山口県萩市に移住する日まで、もう2週間を切っています。

引越し業者を選定しました。最安を避けた理由」でも書いたように、引越し業者は決まってるし「御社にお願いします」と伝えたらすぐにダンボールセットを持ってきたので、少しずつですが荷造りを進めています。

余裕あるようでいて、途中でお盆をはさみますので、直前でバタバタするのもイヤですからね。

余談ですが、引っ越し代って前払いするものなんですね。
今回、訪問見積もりを依頼した業者すべてに「料金は事前にお支払いいただきます」って言われました。

前回引越したのが15年前、そのときは後払いでした。

営業に来られた方に「事故、多いんですか?」って訊ねてみると「昔は多かったらしいですね、だから今はこうして前払いをお願いしてるんです」と。
未払いとか、事後値引きとかそういうの多かったみたいですね。

なので、引っ越し代はすでに支払い済みです。

前述の通り、今のマンションを買って引越してきたのが15年前なのですよ。
とのときに置いたっきり、15年間移動していない家具などもあります。

その裏側は15年間、1度も掃除していなかったりするのです。

引越し当日はこまめな掃除もできないだろうと思い、できる限り移動できる家具は移動しながら掃除も進めています。

買主さんは「壁紙を張り替えて、フローリングはコーティングを」とおっしゃってましたけど、ちゃんときれいにしてお渡しするのが礼儀ですからね。

なので、家の中がこれまで見たこともないような配置になっています。

ちょうど作業部屋に電話がかかってきて、はじめて分かったんですけれど、部屋の形(家具の配置とか、物の量)が変わると声の響き方が全然違うんですね。

「あれっ、オレ今日、耳がおかしい?」と感じたくらいです。

そんな感じで「もう東京にいられる日にちも、そんなにないんだな」「2週間後には萩市民。38年ぶりか」などと、得体の知れない感情が入れ替わり立ち替わりやってきています。

「寂しくなりますね」って…

僕はいま無職です。
「もう一生働かないぞ」と決めているわけではなく、娯楽の範囲で何かしらの労働はしたいのでセミリタイアということにしています。

50代半ばを過ぎているので「アーリーリタイア」って感じじゃありませんね。
僕が社会人デビューした30数年前は、55歳が定年退職年齢だったので、その当時「このくらいで仕事しなくなるんだろうな」とイメージしていた通りなのです。

ただ無職も完全な無職じゃないんですよね。
週に数分だけ働いて、月額数万円の報酬をいただいているのです。
いわゆる運用案件が、ひとつだけ残っているのですよ。

それと、他に発注するところのないクライアントのスポット案件が来れば「僕はもう退きました」とは言いにくいですよね。
あまりにも大掛かりな案件だと「いや、実は」って話になりますけどね。

「セミ無職」なのです。
(参考:無職になったら、チカラが抜けて楽になった

その週に1回やり取りする担当者、1度もお会いしたことがないのですよ。
メールだけで必要な情報を共有しあったり、その中に雑談も含めるような間柄です。

Webサイトの更新情報に「夏季休業のお知らせ」を含めるよう指示をいただきつつ「お盆のご予定はいかがですか?」みたいな話題になったので「会社を山口県萩市に移転するので、ずっと引越ししています」と伝えました。

すると「え。ビックリ! 山口に行かれるんですか。寂しくなりますね」という返答が…。

繰り返しますが、その方とは一度もお会いしたことがなく、メールでのやり取りしかしていないのです。

「実は、この2年くらい半分は萩から更新作業してたんですよ」と。

この「印象の距離」がやっかいなのです

おそらく「移転します」と伝えなければ、気づかなかったはずなのですよ。
当然シグネチャには「山口県萩市…」と会社の所在地を書きますから、ある日「あれ? いつの間に」ということにはなるんでしょうけどね。

僕がこのブログを開設して間もないころ「印象の距離、印象の時間」という記事を投稿しています。

いま新型コロナ禍の影響でリモートワーク(テレワーク)を体験した企業・個人が増え「リモートで十分仕事できるじゃん。これからは地方に住んで東京の仕事をやる時代だね」みたいな感じになりかけています。

これ、僕がフリーランスになってからの四半世紀近く、ずっと考えたり周囲の人たちと話題にしてきたことだったんですよね。

最初の頃は、FAXだとかバイク便だとかの「そこにいなきゃいけない」制約があったから困難だったし、メンド臭くて考えるのをやめてたんですけどね。

だって「地方で働く」が一番の目的じゃありませんからね。
「デザイナーとして、真っ当にメシを食う」が第一で、「地方住みでもいけるんじゃない?」は二の次三の次だったのです。

それよりも、ずっと気にしていたのが「印象の距離」なんですよね。

現実は実際に会うことなく仕事を進めていても、本当に対面ミーティングが必要なときには躊躇なく飛行機で東京に向かう体制にしていたとしても、どうしても仕事仲間の間では「あの人、地方に引っ込んじゃったからな」って雰囲気になっちゃうものなんですよね。

もちろん、余人を持って代えがたいスーパーデザイナーであれば、地球上のどこにいても発注はあるのでしょうけども、僕のような凡百のデザイナーならば、たちまちその存在を忘れ去られますからね。

「なんだかんだで東京にいることって、重要なんだよな」と、ずっと思っていたのです。

僕自身は、あれから人生のフェーズが少し変わり「いったん仕事から離れよう。田舎暮らしの優先順位を上げよう」と、考えるに至ったのでこうして「無職になって、山口県萩市へ」という状況を迎えているのです。

でも今「リモートワークだ。地方の時代だ」って言ってる人々、どうなんでしょうね。
この「印象の距離」をどうやって突破するんでしょう?

会社員ならば「自分を憶えている役割の人」がいるから問題なさそうな気もしますけどね。

フリーランスの場合は…。
延々とスポット案件を受け続けるのならば、クラウドソーシングが上手く機能してくれるんでしょうけど、決まったクライアントや代理店から安定的に案件を供給してもらおうとすれば、それなりの存在感を示さなきゃなりませんよね。

結局「人それぞれ、能力やキャラによる」っていう、つまんない結論になっちゃいますね。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。