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法人にしてる人も「フリーランス」を名乗っていいのです

2019.07.30

こんにちは、萩ドットライフ()です。

心のどこかで「自分は法人化してるのに、フリーランスを名乗ってもいいのか?」と感じていたのですよ。しかし、それは取り越し苦労だったようです。このたび内閣府から発表されたフリーランスに関する調査に、法人化した人も含まれているのですから。

法人を設立しててもフリーランスはフリーランス

ずっと「30代半ばでフリーランスになり…」という自己紹介をしながら、働き方に関する記事を投稿し続けてきています。

ただ「オレって、ホントにフリーランスなの?」という気がかりはあったのですよ。
なぜならば、法人を設立しているからなのです。身分は「会社役員」なのですよ。

アンケート的なものに「自営業」と「会社役員」があれば、後者にチェックします。

過去に何度か「法人にしてるんなら、フリーランスじゃないんじゃない?」みたいな会話になったこともあり、ググっても明確な定義は出てこず、「ま、いいか」くらいの気持ちでフリーランスを名乗っていたのです。

先日、内閣府からフリーランスの人数を推計する調査結果が発表されました。
下記引用は日本経済新聞の記事です。

フリーランス300万人超 内閣府初推計 就業者の5%(2019/7/24)
内閣府は24日、フリーランスとして働く人の数を306万人から341万人程度とする推計を公表した。国内の就業者全体の約5%を占める。内閣府がフリーランスの人数を推計するのは初めて。政府は多様で柔軟な働き方を後押ししており、フリーランスの実態を把握することで今後の政策に役立てる考えだ。
日本ではフリーランスを直接の調査対象とする公的統計は存在せず、内閣府は今回アンケート調査を実施して人数を推計した。会社員らが副業でフリーランスとして働く場合も含んでいる。最大の推計値である341万人には個人事業主だけでなく、法人を設立した人も含まれる。
出展:フリーランス300万人超 内閣府初推計 就業者の5%  :日本経済新聞(2019年7月30日現在)

内閣府の資料(PDF)はこちら
政策課題分析シリ-ズ 17 日本のフリーランスについて ―その規模や特徴、競業避止義務の状況や影響の分析―

「最大の推計値である341万人には個人事業主だけでなく、法人を設立した人も含まれる。」
と書いてありますね。

これから先、定義が変わってくることも考えられますが、今のところ法人化している人もフリーランスの中に含まれるようです。

法人化してよかったこと

フリーランスになったばかりの頃のことは「フリーランスになったころの失敗を記して、平成時代を後にしよう」という記事に書きましたが、僕は、独立すると同時に法人登記したのですよ。

あまり、損得は考えずに「会社を作って大きくするんだ」って思っていましたから。
ずっとデザイナーでいるつもりもなかったので「デザイン事務所」を作ったという認識もありませんでした。

概ね、法人化するとメンドくさ事が増えるのですよ。
主に会計的なことですね。当然、コストアップに繋がります。
たとえ赤字でも「法人住民税の均等割」と呼ばれる税金が発生します。都道府県によって金額が異なるようですが、東京都の場合は7万円です。

「法人化しといてよかったな」と思うこともあります。

多くの方は「節税対策」という言い方をされますが、そこに関してはあまり効果を感じていません。おそらく、開業時の赤字続きのときから法人だし、個人と法人の税額をちゃんと比較検討などしてこなかったからだろうと思います。

僕が効果を感じたのは「住宅ローン」を借りたときなのです。

それまで「フリーはローン組めないよ」と脅されていましたから。
ところが、法人化していると「給与所得者」としてカウントされるのです。

マンションを買った当時は、個人で確定申告もしていませんでしたから、法定調書と納税証明の提出だけで審査してもらえたような記憶があります。

住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)のフラット35だったからかもしれませんし、ビビって30%くらい頭金を用意したことも影響しているかもしれませんが、実にあっさりと承認されたのですよ。

「フリーは住宅ローン組めないなんて、ウソじゃん」と思いました。

その後、某メガバンクで借換を画策したときには、決算書の提出を求められた上で「事業規模」を理由に却下されましたけどね…。
そのときは、作業場として使ってる分を法人から個人に賃貸するカタチにしていたのですよ。
当然、確定申告に載りますから、フラット35での借換を断られたのです。

結局、法人と個人の賃借関係を辞め、2年間経過させて書類上に出てこないようにした上でフラット35の借換は承認されました。

今は法人化しているフリーランスって多いかもですね

もしかすると「法人にしてるんなら、フリーランスとは言えないでしょ」「フリーランスって、個人事業主のことだよね」って考え方、世代間で差があるのかもしれません。

僕が法人を設立した1997年当時、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の「資本金」が必要だったのですよ。僕が設立したのは有限会社です。
「会社作ったの? スゴイね」みたいな風潮がありました。

その後、2002年に法改正があり、資本金1円でも法人が設立できるようになったのですよ。

いろいろとググり巡ってみると「1円法人のメリット・デメリット」みたいな記事が散見できますが、1円法人がアリになったことで、かなりカジュアルに法人設立が可能になったことは確かでしょうね。

前述の内閣府の資料に目を通すと、341万人のフリーランス(本業:178万人/副業:163万人)のうち、一人社長は26万人(本業:19万人・ 副業:7万人)のようです。
おおよそフリーランスの13人にひとりが法人化しているようですね。

ところで、ちょっとビックリしたのが

平均年齢について、日本の本業フリーランス相当は54歳前後であり、日本の正規雇用(42.5 歳)、非正規雇用(47.5歳)よりも高い。

という記述です。

僕の目の前にある「フリーランス像」とかなり異なるのです。
まあ、いろんな職業がありますからね…。

そうなると「職業別の実態」みたいなものにも興味が湧いてきますよね。「広告系」「Web系」とかでもいいし。

この調査どおりならば、さんざん言われてきた「フリーランス40歳の壁」ってなんだったんだ? ってことになっちゃうのですよ。

それにしても、これまで「フリーランスの実態」なんて誰も調べようとしなかったんですね。
「労働」といえば「サラリーマン」ってことだったんでしょうね。
今回の調査で明らかになったのは、フリーランスの数は労働者全体の約5%。「20人にひとりはフリーランス」ってことなんですね。

僕は「ワリと多いな」という印象を持ちました。
そして、フリーランスが高齢になってからの仕事との折り合いの付け方を、このブログのテーマにしているのですが「たぶん、方向性間違ってないよね」とも、感じているところなのです。
これからも「フリーランスデザイナーの老後・末路」について記録し続けていこうと思っているのです。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。