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現状を維持するってなかなか困難なのです

2019.05.31

こんにちは、萩ドットライフ()です。

「今の仕事のWebデザイナー、ここらでやめにするか」と思うに至った理由って、現状を維持することがなかなか困難にりつつあることが大きな割合を占めているのですよ。「普通」「平凡」「人並み」って、割とキープするのがツラいものなのです。

フリーになった20数年前には、野望らしきものはありました

特にオッサンになりますと「なんかもう、このままでいいや」「金持ちになりたいとか、偉くなりたいとか、そんなのどうでもいいな」などと思うようになるものなのですよ。

20数年前にフリーランスになって、法人登記までしちゃった頃には「ザクザク稼いでお金持ちになりたい」とか「従業員雇って、会社を大きくしたい」などと思ってたんですけどね。
だんだんと、自分のサイズ感みたいなものがわかってきて「普通でいいや」「人並みが一番」などと思い始めるのです。

それって「人並み」って状態が結構キツいものだと解ってくるからなのですよね。
そう簡単にキープできるものではないのですよ。
「普通」「平凡」「人並み」って、以前は軽く小馬鹿にしてた言葉だったんですけどね。
加齢とともに「普通って、スゲえな」と思うようになり、今は「ダメだ。普通をキープできない。別の何かになってやり直そう」と思っている最中なのです。

そのために「セミリタイア」を始めてるし、現在受け持っている案件が整理ついたら「1年以上の長期休暇」を取ろうとしているのです。

以前投稿した「フリーランスになったころの失敗を記して、平成を後にしよう」で書いたように、なんとなく人並みの生活ができるようになれたのは、フリーランスになってから4年目のことでした。

それ以降、致命的な打撃は受けてはいないのですが、それでも大波小波はありました。
ビジネスのセオリー通りの「取引先の分散」をせずに、メインククライアントの案件を請ける比率を大きくすることで効率化を図ってきたつもりですが、その作戦のいい面も、悪い面も両方の影響があったのだろうと思います。
(参考:結局「取引先の分散」なんてしなかったな

常に同じクライアントと仕事をする「いい面」のひとつに、人間関係が安定して、コミュニケーションを取りやすくなる、ということがありますね。
なんとなくクセがわかるというか「これやっとけば、通るだろ」みたいな勘どころができるのですよ。

同時に先方も「この人は、いつも安定してこちらが望む仕事をしてくれる」と思ってくれて、双方が望むレベルでのギブ・アンド・テイクを継続できるのですよ。

現状を維持することって、ずっと上昇し続けることなのです

ただ、この状態をキープすることって、実は難しいことなんですよね。
理由は簡単で、

  • 僕自身:加齢とともに焼きが回る
  • クライアント:常に要求は高まり続ける
  • 環境:新技術・新表現がどんどん登場する

からなのですよ。

「現状を維持する」って「同じことをやり続ける」ではないのです。
外部要因とともに、ちょっとずつ上昇し続けることなのですよ。

昔にくらべて、外部環境が変わる速度はどんどん早くなりつつあります。
とくに僕が携わっているWebサイト制作は、わりと新しい業種ですから、どんどん変化し続けているのですよ。
5年くらい前に納品した過去実績を見ると、愕然とするくらいに「古い」のです。技術も、表現もです。

その上、自分の加齢です。焼きが回ってくるのですよ。
これでも、50代半ばまでフリーランスのWebデザイナーを続けてこられたのですから、それなりに変化への対応力とか、関心の持続はできていたつもりなのです。
でも、それだけに自分の足がもつれはじめていることに「気づく」のです。

「仕方ない。別の何かになるか」

例えば、ほんの少しだけ傾斜のついた上り坂を延々と登り続けてるようなものなのですよ。
そのスピードが一定であることが「現状を維持する」ということなのですよね。

足を止めてはダメなのですよ。バテてくると、だんだんと傾斜がキツく感じられるようになるのです。
同じスピードで坂を登り続けるって、なかなか困難なことなのですよ。

年々、傾斜はキツくなります。求められるスピードも速くなってきます。
「ひと休みしよう」と足を止めたら、再び登り始めることが難しいのは容易に理解できます。

20数年前に登り始めた頃には、楽々だったものが少しずつキツくなっていくのです。
辺りを見渡せば、同じ坂を登っている人の数は増えてるし、いろんな能力を持った人たちが、僕と同じ坂を登っているのです。

当然「この坂を登り続けるべきなのか?」という疑問は生まれてきますよね。

まだ、坂を登るチカラがあるうちに、もうちょっと傾斜がゆるく、もうちょっとスピードが遅くて、ライバルの少ない坂を目指したいのですよ。

「20年前のWebは、ブルーオーシャンで良かったな」などという思い出語りをしたいわけではないのですよ。
あのころ感じた「あ、いいの見つけた。これやってみよう」をもう一度味わいたいのです。
新しいことを知って、大袈裟に驚いてみたいし、銭になるかどうかもわからないことの学習に没頭してみたいのです。

僕は今、Webデザイナー業を終わろうとしています。
職業人としてリタイアしたいわけではないのですよ。また別の何かになって、職業人としての寿命を伸ばしたいのです。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。